
「貯金ができない」「お金が貯まらない」─そんな悩みを抱える現代人にこそ知ってほしいのが、『私の財産告白』の著者、本多静六さんの教えです。
「私の財産告白」の著者・本多静六とは?

本多静六さん(1866年〜1952年)は、近代日本を代表する林学者であり、東京大学の教授として数多くの功績を残した人物です。
しかし彼の人生は、決して恵まれたスタートではありませんでした。
埼玉の農村に生まれ、幼くして父を亡くし、貧困の中で農作業や米担ぎをしながら勉学に励みました。
19歳で上京し、東京山林学校(現在の東京農工大学)に入学しますが、最初の期末試験で落第、一時は絶望のあまり命を絶とうとしたほどです。
それでも彼はそこから立ち直り、猛勉強の末に成績トップに上り詰め、やがてドイツ留学、東京大学助教授への道を切り開き、貯蓄や投資を実践し、資産家となりました。
そんな彼の人生哲学の軸には、「努力と計画によって人生は必ず切り開ける」という確信がありました。
人生を4段階で計画する哲学
本田静六さんは、人生を以下の4つのステージに分けて生きました。
📌40歳までは勤労と貯蓄・投資に徹し、生活基盤を築く。
📌60歳までは学問研究に集中する。
📌70歳までは社会への恩返しに励む
📌70歳以降は自然の中で読書と農作業を楽しむ。
この計画に沿って本多静六さんは、40歳で「利息が本給を上回る」ほどの資産を築き、経済的自立を果たしました。
「貧乏征伐」から始まった貯金習慣─4分の1天引き貯金法

本多静六さんが実践した資産形成の鍵が、「4分の1天引き貯金法」です。
25歳、東京大学の助教授として初めて月給を得たとき、彼の家にはなんと9人もの家族がいました。
当時の手取り月給は58円。(算出方法によってかなりの違いはありますが、現在の22万円程度と考えられます。)
そこから容赦なく14円50銭(=4分の1)を先取り貯金し、残りで9人の生活を支えたのです。
まさに「貧乏を強いられる前に、こちらから攻めて征伐する」という覚悟がにじみ出る行動です。
本多式・4分の1天引き貯金法の要点
本多式の貯金術は非常にシンプルです。
📌給料が入ったら、まず4分の1を先取り貯金。残りの4分の3で生活する。
📌臨時収入(著作収入・ボーナス・旅費精算など)はすべて貯金。
📌貯金や投資で得た利息や運用益も“収入”とみなし、4分の1を貯金。
このように、あらかじめ貯金を優先する仕組みを作り、先に貯めるクセをつけておけば、気づいた時には、自然と「お金が貯まる体質」に変わっているはずです。
自分自身も実践中
僕もこの考え方に影響を受け、「先取り貯金」を意識して家計を組んでいます。
理想は収入の25%ですが、たとえ10%でも15%でも、「残ったら貯金」ではなく「貯金してから残りで生活」を徹底するだけで、お金の貯まり方がまったく違うと実感しています。
もちろん急にはできない方もいるかもしれません。それでも、まずは最初に1,000円だけでも先取りすることから始めてみてください。それが未来の資産づくりの第一歩になります。
僕が感じた「理性の勝利」

本多静六さんも、貯蓄する上でもちろん最初は非常に苦しかったと過去の経験について語っています。
食費を削って、毎日“ごま塩ご飯”でしのいでいたこともあり、子どもに「今日もごま塩?」と泣かれてしまった日もあったそうです。
それでも本多さんは、「今の苦しさは、未来の苦しさをなくすため」と、自分の感情を理性で抑え、貯金を続けました。
この“理性的な割り切り”こそが、本多式貯金法の最大のポイントだと僕は思っています。
たとえ収入が少なくても、最初に「なかったもの」として貯金してしまえば、残ったお金の中で意外とやりくりできるものです。
僕はさすがに、ごま塩ご飯まではしていませんが、不要なサブスクをやめたり、夜中にネットショッピングで衝動買いしないようにしたりと、理性でお金の使い方をコントロールするようにしています。
理性的にお金と向き合う習慣が、将来の安心につながる、そんな実感を持てるようになってきました。
資産形成は「手法」より「習慣」

本多静六さんはこう語っています。
「貯金の問題は、方法の如何ではなく、実行の如何である。」
まさにその通りです。投資の知識やテクニックに走る前に、まずは「貯める習慣」が必要です。
本多式の「4分の1天引き貯金法」は、時代を超えても実践可能な、強力な資産形成のメソッドです。
無理のようでいて、実は無理ではない。だからこそ、僕たちも今日から始められます。
あなたの人生を変えるのは、収入額ではなく、習慣の力かもしれません。
今日から始める小さな一歩

「毎月〇円先取り貯金」や「ボーナスの10%を先に積み立て」など、あなたの家計に合った“先取りルール”を一つ決めてみてください。
先取りのルールは、小さくてOK。まずは「今月からやってみる」ことが何より大切です。
今日の小さな一歩が、未来の安心と自由をつくります。
今始めることで、未来の自分にきっと感謝されますよ!